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「ありがとう…」
俺の手のなかで、七海はくしゃっとした笑顔を見せた。
「…俺も、言われた」
俺は、静かに切り出した。
不思議そうな表情で俺を見てくる七海を見ると、これ以上言いたくなかった。
「立花が…七海に会いたいらしい」
七海の表情が凍りつく。
そして、うつむき
泣いているかのような声で、小さく喋り始めた。
「…一回、離れよう…私達。じゃないと…今のままの私じゃ…兄ちゃん傷付けちゃう…」
下を向いたまま、七海は俺に背中を向けた。
「あっちの車両に…乗るから…。付いてこないで…」
俺は言葉が出せないまま、そこに立ち尽くしていた。
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