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ここで追いかけるのが男か、彼氏か、と言われても、今の俺には出来ない。
小さい頃は俺に「にぃに」とついてくるだけだった七海が、今では自ら離れていく。
次第に小さくなる背中を見つめている時に、風と共に電車がやってきた。
追いかける時間は無い。
電車から降りる人の合間を縫って、1人で電車に乗った。
帰りの電車で1人なのには慣れたつもりだったのに、今日はなんだか変なモヤモヤが残っている。
ドアが閉まり、静かに電車が動き出す。
確か七海は先頭の方に歩いて――…
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