Act.1 -日常-

19/20
前へ
/25ページ
次へ
ここで追いかけるのが男か、彼氏か、と言われても、今の俺には出来ない。 小さい頃は俺に「にぃに」とついてくるだけだった七海が、今では自ら離れていく。 次第に小さくなる背中を見つめている時に、風と共に電車がやってきた。 追いかける時間は無い。 電車から降りる人の合間を縫って、1人で電車に乗った。 帰りの電車で1人なのには慣れたつもりだったのに、今日はなんだか変なモヤモヤが残っている。 ドアが閉まり、静かに電車が動き出す。 確か七海は先頭の方に歩いて――…
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加