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不思議に思った俺は、公園の中に入ってみた。
聴こえる歌声を手がかりに、声のする方向へ少しずつ近づく。
まるで、探偵にでもなったかのような気分だ。
しばらく歩いていると、公園の砂場の辺りに1人の少女の姿が現れた。
腰あたりまでの長い茶髪に、白い無地のワンピース。
身長は高くもなく低くもない。
年齢は、14歳くらいであろう小柄な少女で、握った真っ赤な傘をクルクル回しながら歌っていた。
まるで人形のようなその容姿と回る赤い傘から、俺は目が離せなくなっていた。
すると、少女が俺の存在に気づいたようで、歌うのを止め、こちらへ振り返った。
「貴方…私が見えるの?」
少女は、驚いたような、嬉しいような顔をして、問いかけてきた。
「見えるもなにも…普通じゃん?てか、当たり前に見える」
そう答えると、少女は頬を赤く染め、ニコッと微笑んだ。
何が嬉しいんだろ?
……見える事が嬉しいのか?
そう思えば、ここら辺では見ない顔だし、第一雨が降ってんのに公園にいるのはおかしい…。
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