第ニ章 赤い傘

3/7
前へ
/16ページ
次へ
不思議に思った俺は、公園の中に入ってみた。 聴こえる歌声を手がかりに、声のする方向へ少しずつ近づく。 まるで、探偵にでもなったかのような気分だ。 しばらく歩いていると、公園の砂場の辺りに1人の少女の姿が現れた。 腰あたりまでの長い茶髪に、白い無地のワンピース。 身長は高くもなく低くもない。 年齢は、14歳くらいであろう小柄な少女で、握った真っ赤な傘をクルクル回しながら歌っていた。 まるで人形のようなその容姿と回る赤い傘から、俺は目が離せなくなっていた。 すると、少女が俺の存在に気づいたようで、歌うのを止め、こちらへ振り返った。 「貴方…私が見えるの?」 少女は、驚いたような、嬉しいような顔をして、問いかけてきた。 「見えるもなにも…普通じゃん?てか、当たり前に見える」 そう答えると、少女は頬を赤く染め、ニコッと微笑んだ。 何が嬉しいんだろ? ……見える事が嬉しいのか? そう思えば、ここら辺では見ない顔だし、第一雨が降ってんのに公園にいるのはおかしい…。 .
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加