1人が本棚に入れています
本棚に追加
それから俺達は、頻繁に話をする様になった。って言うか、彼女に『大丈夫』って笑ってもらいたくて、俺が積極的に話しかけてただけだけど…。
「ねえ」
彼女に呼ばれ、俺は振り向いた。
「今日、暇?」
「うん」
今日に限らず、基本的に用事は作らない。
「じゃあ、仕事終わったら…ちょっと良いかな?」
「分かった」
何だろう?彼女から俺に用事なんて、珍しいな…。
終了後
「どうしたの?」
俺達は人気のない給湯室にいた。
「私さ……いや、やっぱ…何でもない」
「は!?」
何なんだ…って言うか…何だろう…この気持ち…。心地良い息苦しさと言うか、何て言うか…。
「じゃあその代わり…俺も良い?」
「何?」
やっぱ、そうなのかな…?俺にとって彼女は…
「今気付いたんだけど…好きかも」
「は!?」
彼女は俺と同じ反応を見せた。
「あ…私も…それ言おうとした」
そう言って彼女はそっぽを向き、黙ってしまった。
「…ホントに?」
俺は信じられなかった。でも、彼女のこの様子を見ると、本当なんだろうな…。
「うん…」
彼女は俺に向き直った。
「私の恋人でいて下さい」
そう言って、俺を上目使いで見つめる。
「…はい…」
俺は柔らかく微笑んで答えた。
数日後
「最近、調子いいな」
部長が俺に話しかけた。
「はい、お蔭様で」
俺達は付き合ってからというものの、仕事の実績がどんどん上がっていった。俺達は目配せをすると、笑い合った。
「この調子でな」
部長は俺の背を叩くと、どこかへ消えた。
「良かったじゃん」
彼女はそう言って笑った。
「うん、君のおかげかな」
「何言ってんの、会社で惚気んな」
口ではそう言いつつも、表情は嬉しそうなままだった。
最初のコメントを投稿しよう!