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人といるのに、何となく一人な気がして、淋しい思いをする…。それは自分が一番、分かっていたはずなのに…。
真里亜ちゃんは……私がいなくなったら…困る…?
「それにね…花音ちゃんの代わりなんて、どこにもいないんだから」
……!
「花音ちゃんは、花音ちゃんしかいないの…だから…」
「だから…いなくなったりしない」
私は言葉に詰まった彼女の続きを言った。そして振り返り、彼女の方へと歩いた。
「ごめんね…もう、大丈夫だから…」
そう言って私は、泣きそうな彼女を、ぎゅっと抱きしめた。
「約束する…真里亜ちゃんがこの世にいる限り、一人になんかしないから」
「…うん…」
私は離すと、彼女の目を見て言った。
「じゃ、また明日」
「…うん…負けないでね…」
私は頷くと、帰路へ就いた。
「あの花…なんて言うのかしら?」
学校からの帰り道、真里亜ちゃんが道の片隅を見ながら言った。私もその方向を見るとそこには、小さな花が咲いていた。白くて、か弱そうな花だった。
「可愛い花ね」
「うん…」
でも、一輪しか咲いていない様だった。あの花も、かつての私の様に、自分で自分の最後を決めようとしているのだろうか?風に揺れ、儚く散ってしまいそうだ。きっとあの花も、誰かが必要としているだろうに…。
「ママー!まだ咲いてたよ!」
小さな男の子が、その花に駆け寄ってきた。
「本当だ」
ママと呼ばれた女性が、覗き込みながら言った。
「昨日、ゆう君がお水をあげたから元気になったんじゃない?」
「本当!?」
あの子、ゆう君て名前なんだ…。ゆう君は嬉しそうに花を見つめている。
ほら、必要としてくれる人がいた。
だからあなたも…
負けないで…。
~―輪の花 high and mighty color~
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