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「そう、狐。」
僕は振り返った。
嘉奈はなぜか満面の笑みで僕を見ていた。
あのいつものニヤケ顔とは少し違う、笑み。
「どうして・・・?」
「なんとなく。」
大雑把にいうと、嘉奈は歩きだした。
僕も慌てて歩きだす。
違和感が残るが、あいつに会えば、違和感もとれるだろう。
そしてたどり着いたのはある店。
名前は『喫茶ハザマ』
「狭間さん、いるか?」
「おや、河國氏ではないか。まあ座りたまえ。」
この店の主、狭間 銀は奥に引っ込み、グラス2つとオレンジジュースの大瓶を一本持ってきた。
「ところで河國氏、そちらのお嬢さんは?」
オレンジジュースを注ぎながら嘉奈の方へ目を向ける。
おいおい狭間、手元はちゃんと見てくれよ。
せっかくのオレンジジュースが台なしになるだろうが。
しかし、そんな心配を他所にグラスには多すぎず、少なすぎない程度にオレンジジュースが注がれる。
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