第霊話 かなフォックス

5/7
前へ
/113ページ
次へ
「そう、狐。」 僕は振り返った。 嘉奈はなぜか満面の笑みで僕を見ていた。 あのいつものニヤケ顔とは少し違う、笑み。 「どうして・・・?」 「なんとなく。」 大雑把にいうと、嘉奈は歩きだした。 僕も慌てて歩きだす。 違和感が残るが、あいつに会えば、違和感もとれるだろう。 そしてたどり着いたのはある店。 名前は『喫茶ハザマ』 「狭間さん、いるか?」 「おや、河國氏ではないか。まあ座りたまえ。」 この店の主、狭間 銀は奥に引っ込み、グラス2つとオレンジジュースの大瓶を一本持ってきた。 「ところで河國氏、そちらのお嬢さんは?」 オレンジジュースを注ぎながら嘉奈の方へ目を向ける。 おいおい狭間、手元はちゃんと見てくれよ。 せっかくのオレンジジュースが台なしになるだろうが。 しかし、そんな心配を他所にグラスには多すぎず、少なすぎない程度にオレンジジュースが注がれる。
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加