小さな出会いの物語【網走】

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親父がボールになって早一ヶ月 そんなある日の休日の話…… その日、俺は朝近くの空き地にいた……… 親父が寝ていたこともあり、さらには特に用事も無かったから暇潰しの散歩程度のつもりだった 「ふぅ………」 額に浮かぶ玉汗を少し拭う 夏を象徴するかのように太陽が照り返してる 「はぁ………」 自然と溜息が出る 悩みの種は親父だった 野球仙人と交わした約束、五年以内に全国優勝する 口で言うのは簡単だが、それはとても難しいことだと子供心に理解していた 「はぁ………どうすりゃいいのかな」 本日何度めとも知れない溜息 今の俺はこの青空に似合わないほど暗い顔をしているのだろう 今日はグローブもバットもボールも持ってきてない つまりは手ぶら いつもなら少しなり練習するが今日はそれもできない 帰るしかない この炎天下にいるよりは家で扇風機に当たったほうが幾分かはマシだと判断した 「…………はぁ」 また溜息 いい加減自分でも飽き飽きだな 「なんだ、君は? 空はこんなに晴れているのに溜息なんて」 突然背後から声が聞こえた はっとし、振り返る そこには一人の女の子が立っていた
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