プロローグ

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あたしが声のする方向をカメラのレンズ越しに見ると、テニス部のユニホームを着た男の人が、校舎の壁に手をつき、顔をうつむかせていた。 カラン…。 その男の人の足元に、テニスのラケットが落ちていた。 「くそっ!くそ…っ!」 男の人は、校舎の壁を右手で叩いて悔しがっていた。 テニス部の人かな? あたしは、そう思いながらカメラのレンズ越しにその男の人を見ていた。 あたしがその男の人をレンズ越しに見ていると、男の人は頭を校舎の壁に軽く打ち付け、顔をふさいでいた左腕をどけた。 「え…」 あたしは、男の人が腕をどけた時に見えた顔に驚いた。 パシャリ 「! 誰だ!」 あたしの気配に気づいたのか、カメラのシャッター音に気づいたのか、男の人がこちらを見た。
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