*中学3年 冬…2*

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「裕翔!!」 学校に着き、裕翔のクラスに行くと裕翔が窓際に座っていた。 俺が叫ぶと裕翔はこっち振り向かずに、声だけで返事をした。 俺は駆け寄って肩をつかみ、こっちをむかせた。 「裕翔!!……最近」 むかせた瞬間に俺は思わず言葉が詰まった。 目の前にいるのは、ほほが赤くなり、すり傷があちこちにある裕翔。 「……どうしたの…」 「昨日……こけちゃった…」 口は笑っていても 目が笑っていない。 「田中じゃないのか?」 すると裕翔はびっくりしたような目でぱちくりさせた。 そのあと、裕翔は肩を震わせ、目からは大粒の涙があふれだした。 「ごめ……でも…助けてあげたくて……なんでもいいから……子供の顔が見たいって田中くん……」 「バカ!!田中は中絶代だけ巻き上げてんだよ!!だいたいなんではらうんだよ…」 「俺も……自分の子供の顔……みたかったから……気持ち、わかる……の」 「いつか見れるだろ!!」 「無理なんだ………」 _____
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