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――こんなやりとりが毎日のようにあって、月日は流れていき、気が付けば俺達が付き合い始めてからもう半年が経とうとしていた。
俺も卒業やら大学進学の為の準備やらで、忙しくなっていた。
そんな時の出来事――――。
◇ ◇ ◇
「最近さ、愛美元気無くない?」
「え?」
「思った!なんかあったの?」
――“最近”というのは、拓海先輩とあんまり会えなくなってからの日常の事。
先輩は3年生だから、受験とか色々あるらしくて、ここのところ全然会えてない。
それがまた意外と寂しかったりして……先輩のこと、こんなに好きなんだなって実感するんだけどね。
「何にもないよ?」
みんなに心配かけるのは嫌だったから、先輩との事で悩んでるっていうのは内緒にすることにした。
「最近あんまり体調が良くなくてさ。ボーッとしちゃうって言うか……」
「そっか……。あんま無理しないでよ?」
私の思い付きの嘘を本気で心配してくれた友達を見て、ちょっとだけ罪悪感が残ったけど、もっと心配かけちゃダメだから、やっぱり言わなくて良かったとも思った。
私は「うん、ありがと」とだけ言って、昼休み中だった教室から抜け出した。
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