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それからしばらく進んでいると、二人は大きな広場にたどり着いた。
この広場はおそらく墓地だろう。
荘厳な雰囲気に包まれているその空間には、沢山の墓が規則正しく置かれている。
その上、祠の入り口で感じた感覚はさらに強く、濃くなっていた。
なんだか気味が悪い……。エルはそう思っていたが、一種の緊張状態に陥っているベルニカを怖がらせないためにも、平然を装って歩き始める。
二人はゆっくりと墓地の中心に向かって進んでいき、中心に到着した時に初めて謎の広場の全体を確認することが出来た。
「何なんだよこれ……」
エルは言葉を失った。どうやら、この広場はドーム状になっており、入り口で見たものよりも、さらに激しく荒らされている。
まるで、この空間で誰かと誰かが戦っていたように。
それから二人は、しばらく広場の中心に立ち、辺りを見渡してここで何が起こっていたのか……。それを考えていた。
そんな時、どこかでガチャン!! と何かが外れる音が広場全体に響き渡る。
それと、時を同じくして祠全体が激しく揺れ始めた。
「きゃあああああああ!!!」
ギリギリの所で塞き止められていたベルニカの緊張は予想外の揺れによって崩壊し、彼女は耳が痛くなるほどの声で悲鳴を上げた。
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