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「なぁ……、それって大丈夫なのか??」
エルは恐る恐るベルニカに尋ねた。
それに対しベルニカは、何でそんなことを聞くの?? と言いたげな顔でエルを見る。
それを見たエルは念を押すようにもう一度ベルニカに尋ねた。
「ファザラム叔父さんにバレたら俺たち殺されちまうよ……」
ファザラムとはベルニカの父親の名前である。
エルは幼い頃から両親がおらず、ベルニカの家に居候している為、ファザラムのことはよく知っている……。
彼を一言で表すならば流石ベルニカの父親!! ベルニカの強気な性格は彼そのものなのだ。
エルは悪さをする度、ファザラムの拳骨を毎度食らっている。
原因がベルニカにあったとしても、彼女は毎度ギリギリのところで手を引き全てエルの責任になっているのだ。
エル曰く、ファザラムの拳骨は頭蓋骨の芯まで揺れるほど痛いらしい。
「大丈夫よ」
ファザラムの拳骨の痛さを思いだし、肩を落としてるエルにベルニカは言った。
「大丈夫?? 本当に大丈夫なのか……??」
「うん。だって全部エルのせいにすれば、あたしは拳骨食らわないもの」
「………」
「それより、開いたわよ」
ベルニカはそう言うと、南京錠を扉から外し、扉を開けた。
「ほら、ボサッとしてないで早く入りましょう」
そう言って、封印の祠に入っていくベルニカの背中を眺めながらエルは深く溜め息をついた。
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