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クンクン!!
少年は鼻を鳴らしながら
土手を歩いている
目を閉じ 手には白い杖を持っている
「この匂いは……椿?」
「お~正解!鳴海は凄いね~」
少年の隣を歩く老婆は
嬉しそうに目を細める
鳴海と呼ばれた少年
幼少頃の事故で視力を
失っていた
「だってお婆ちゃんの
好きな花だもん!
覚えちゃうよ」
その屈託の無い笑顔に
老婆の顔も自然と綻ぶ
「さっ鳴海、遅刻するよ
早く行こう」
東京を離れ九州は長崎県 の五島列島に越して来て
今日が初登校
期待に胸を膨らませ
鳴海は元気に返事をした
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