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次の日、ぽかぽかとした朝日を浴びつつ湖に沿って進んでいく聖。
もう目的地は殆ど見えている。
紅く、窓が少ない、巨大な建物。
時計台が一際目を引く。
「えっと…中に入るには
門番さんに話をつけるって
聞きましたが…」
視線を若干下げる。
紅い髪の門番が昼寝していた。
「この人が門番さんですかね…」
正確には妖怪であるが。
とても気持ち良さそうなので、
起こしにくい。
聖がどうしようかと考えていると
いきなり何の前触れもなく
後ろから飛んできたナイフが、
彼女の眉間に深々と刺さった。
当然だが相当痛いらしい。
泣きながらのたうち回っていた。
「だ、大丈夫ですか!?」
「大丈夫ですわ。
伊達に紅魔館の門番していませんから。」
そう後ろから声がした。
振り向くと、メイド服に身を包んだ、銀髪の女性が立っていた。
紙袋を抱えている。
買い物帰りらしい。
どうやら彼女がナイフを投げたようだ。
「それで、どちら様ですか?」
「あ、初めまして。
私は白蓮聖と言うものです。
十六夜咲夜さんにお伺いしたいのですが」
銀髪の女性は少ししてから言う。
「長くなりますか?」
「はい、少々かかります。」
「ではお入りください。」
メイドに連れられ、
聖は紅い館へ入った。
「あの人大丈夫なんですか?」
「優しいのね。でも罰は罰。
いつもの事です、気になさらず」
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