完全で瀟洒で総受けで

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「ひ…ぅぁあっっ」 夜の紅魔館の一室。 メイド長、十六夜咲夜の悲鳴が 小さくドアを突き抜ける。 首筋に噛みついているのは、 主のレミリア・スカーレット。 彼女は吸血鬼であり、 普段は血を飲まずに過ごすが、 たまに無性に飲みたくなる。 そんな時は、彼女を呼び出す、 というわけだ。 まあ、それ以外の事が大部分なのだが。 咲夜の乱れた服と髪、 ぐしゃぐしゃになって ちょっぴり湿っている ベッドのシーツが証拠。 吸血で相手に与える感覚は少々の痛みの後に、 内側から湧き出るような 甘い痺れ。 咲夜はこの感覚が何度やられても慣れずに甘ったるい声を上げ、 それがレミリアを駆り立てる。 「ふぅ…」 いつもよりつやつやになった顔に微笑を浮かべ、 レミリアはベッドから立ち上がった。 「いつも通り貸してあげる。 ベッドでゆっくり休みなさい」 そう言い残して、荒い息をしている咲夜を置いて、 部屋を出ていった。 「(腰が………)」 腰が抜けて立てないらしい。 とりあえず好意(?)に甘えて ベッドを借りることにした。 「さてさて、清く正しい射命丸、 今日は紅魔館へ足を運び、 突撃取材しちゃいますよ… 今回のお題はズバリ 『紅魔館メイド長、 偽乳疑惑の真相を探れ!!』 河童さんから借りた光学迷彩で、 真実を見極めたいと思います」 このパパラッチは誰に話しているのだろうか。 そんな突っ込みを入れる相方は残念ながらいない。 「では…まずは人にばれないよう 今は起きている(筈の) レミリア嬢の寝室から 潜入しちゃいます!!」 許可の無い潜入は犯罪でしかないが、 彼女の(自称)探求心は そんな物などものともしない。 彼女は勢いとは裏腹に、 そっと窓を開けた。
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