パチュリーがやらかした

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「あれ、さくや何でそんなのかけてるの?」 掃除をしていた咲夜に、フランが声をかけた。 「色々ありまして… これがないと目が見えないのですよ」 「へんなの。でも似合ってるよ」 「恐縮です」 そう言い、振り返った瞬間。 「もーらった♪」 「あ、ちょっとフラン様!?」 目にも止まらぬ速さで眼鏡を奪ったフランは、一目散に逃げていった。 辛うじて姿は見える。 咲夜とフランの追いかけっこが始まった。 「フラン様、返してください!」 「返してほしいなら ここまでおーいでっ!」 手加減しているのか、飛ばずに走って逃げるフラン。 ただ、その速さは自分より上。 時を止めてもその間に見失ってしまう。 空間操作はこの視力では危ない。 「きゃっ!?」 突然床が抜けるような感覚。 実はバナナの皮を踏んだだけだが。 派手に転んだ咲夜の後ろにいつのまにか移動していたフランは、しゃがみこんで咲夜を見ていた。 「あはははは! さくや、ぱんつ見えてるよ?」 あわててスカートを抑える。 顔が真っ赤に染まっていく様子を これまたフランは笑いを浮かべながら見ていた。 しかし、立ち上がると 「じゃあねっ」 と逃げ出した。 咲夜はすぐに後を追う。 眼鏡を取り戻さなければ、 負担はさらに増える。 善は急げだ。 「お待ちくださいフラン様!」 「あ、そこ階段だよ」 「え?」 フランは咲夜の目にはずっと 走っているように映ったが、 実際は上手く飛んだだけ。 咲夜は階段を踏み外して転がり落ち、頭部強打で気を失ってしまった。 「あちゃー… しょうがないなぁ、お姉さまの部屋に連れてこっと」 嬉しそうな顔で咲夜を運び出すのだった。
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