愛護

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「おい、ローラ!! …………っ!?」  駆け付けたもう一人の仲間は、ローラの抱えた彼の悲惨な状態を見て息を呑んだ。 「…とりあえず、コイツをどこか安全な所に連れて行かないと」  既に意識の無い彼を抱え、放心状態のローラを無理矢理立たせると、脱出を試みるために周りを見渡す。  この辺はもう敵の気配はなく、抜け道も容易に探せるだろう。  素早く目星をつけ、男は片方に気を失う彼を担ぎ、空いた方でローラを引き寄せると、目星をつけた出口へと走り出す。  どうか死なないで―。  今まで生きてきた中で一度たりとも信じた事の無い神に、ローラは願いをかける。 (私がまだ、伝えてないんだから…!)  涙を堪えて、ローラはただひたすら走った。
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