最強のバスケ選手

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少女が九つの時、少女を囲う環境はガラリと変わった。 友達、教師、メディアの報道陣。少女が出場する試合は例え、練習試合であろうと警備員が敷かれ、体育館に入る人数を制限しなければならないほどに、少女は有名で人気があった。 それは、女子バスケ界に降り立った神の申し子とまで言われるほどの才能があり、またそのプレイを見る者は圧倒し、魅了する。 まだ九つだというのに、異質な強さは誰の目にも止まり、そして誰の目にも美しく映った。 そして、“天使”とまであだ名された少女は孤独の闇へと徐々に追いやられた。 少女は言う。 「そんなバスケがしたかったんじゃない。」 と。 未発達な体は、才能に溺れ、一度壊れ、そしてまた、空へと飛ぶ夢を見た。 そして、それを絵にしたものが“天使の背中”であった。 「ぐっ…!」 一度壊れた体は、時々なんの前触れもなくオイル切れのロボットみたいにギシギシと動かなくなって、激しい痛みを引き起こす。 それは想像を絶するほどの痛みだった。 才能が体を置いていき、才能だけが独り歩きしたあの時は、今よりもずっとずっと痛かったのだ。
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