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もう二度と歩く事は困難だと言われたほどに。
だが、少女の才能はそれを許しはしなかった。失った体を探し出し、才能は少女の壊れた身体を補強するかのように、回復させていった。それは、少女の一族ではそう珍しくもない事であったが、その事を知らない医者達は心底驚いていた。
しかし、身体は治ったのではなく、補強されたのだ。
壊れた物は二度と元に戻る事はない。
その言葉通りである。
「また、痛みだしたのか。」
八畳一間のその部屋は、出窓があって、レースのカーテンと、水色の下地に、白い水玉模様の厚手のカーテンが二重に掛けられていて、その下に、少女が身体の痛みに堪えるように、広めのベッドにうずくまっていた。
部屋には、薄型の24型テレビにDVDレコーダー。赤い可愛らしいソファに白い勉強机にガラス窓のついた棚には所せましと金色のカップや彫像が、入っている。全部母親と弟の趣味である。
その部屋に入ってきたのは、男にしては長い紫色の髪を靡かせる男が居た。彼もまた、ICHI BRANDの人形である。
「……っ…」
「声にならないぐらい痛いんだ。」
しかし彼の主人は、ベッドにうずくまる少女ではない。
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