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彼はいらなくなって回収された人形で、なぜか少女に付き纏っている人形である。
釣り上がった金色の目をした人形は正に造られた端正な顔をした人形であった。
人形独特の冷たい顔は、あまり少女は好きではなかった。
スッと通った高い小鼻も、形の良いふっくらとした唇も、到底女と思う事の出来ない、肉付きの悪い頬の膨らみも、全て計算された美しさだ。
「痛み止めは?」
「っ…は…」
「あぁ、喋るのも辛いんだっけ。まぁ、いっか。直におさまるだろうから放っとく。」
息絶え絶えな少女を見てもこれといって感情が生まれない青年は、ベッドに腰掛ける。
青年は、とあるセレブのご婦人が買った人形で、性人形にされていたと聞く。
欲望のままに彼を弄び、そして飽きたからと言って、捨てたのだ。
捨てられた所を、たまたま見てしまった少女は弟の作品である事を示すチョーカーを見てしまったが為に、嫌がる人形を家へ連れて行った。
弟に相談したところ、「人形が浅深に懐いているようだからあげる」と嘘臭さ丸出しであったが、なぜか人形は、少女に付き纏いはじめたのだ。
「浅深、今日は昼になって痛みが引いたなら依智の所に行こ。」
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