最強のバスケ選手

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この間だって、依智の所に行く時に着いて行きたかったのだ。だが、急な仕事が入り一緒には行けなかった。 ICHI BRANDの人形は大手企業が喉から手が出るほど欲しがるぐらいに有能である。その為、人形がそこで働きたいと言えば、喜んで採用する会社は少なくない。 そして、この間というのは、浅深が弟の所に掃除をしに行った時の事だ。 「スミレ。」 浴室から、シャワーの音と青年の名前を呼ぶ浅深の声。 スミレというのは浅深が付けた名だ。たまたま人形の髪が紫色で、たまたま花屋の前を通った時にスミレを見たからだ。 故に名前に意味などない。 「意味のある名前は、人形を縛る。」と弟が言っていたからだ。 「私、この間行ったばかり。」 「俺は行ってない。」 「………………わかった。」 スミレは我が儘である。感情がある為か、人形には喜怒哀楽があり、自分の欲望に忠実な人形だっている。その代表的な人形がスミレである。 「そういえば、依智は私をモデルに人形を創ってた。」 「似てる?」 「ううん。似てない。」 自分よりも可愛らしい、自分がモデルの人形なんて嫉みの対象でしかない。
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