最強のバスケ選手

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すぐに興味をなくしたのか、スミレは無断で浅深のクローゼットを漁り、ブラウス型の黒と紫のチェックのワンピースを浴室に持っていく。もちろん下着も一緒である。 「なんで下着も…。」 「必要だろ。」 浴室の外から、スミレがそう言えば、浅深は溜息を大きく吐き出す。近年よく見るデザインのワンピースと、レギンスを着る。 今の時間帯は昼前。何か材料を買って行こうと思った浅深は、髪をタオルで拭きながら、部屋に戻って、安っぽい財布の中身を確認する。 自分でもそれなりに稼いではいるが、いかんせん。我が家の貯蓄という名の財布を握っているのは母である。 「…………スミレ……」 ひょっこりと部屋から顔を出して、廊下を覗き見れば、そこには当たり前のようにスミレが立っていた。 「なんだ。」 「悪いんだけど、昼過ぎに出かけない?」 「………金なら出す。」 「だ、ダメ!スミレの稼いだお金は取っておきなさいっ!」 こういう時、スミレは疑問に思う。 浅深以外のここの家族は借りるだけなら借りていく。ちゃんと貸した分は戻ってくるので文句はない。が、浅深は違う。 なぜか、スミレに甘えようとはしない。それがスミレには寂しかった。
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