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高層ビルが建ち並び、車のエンジン音が一日中する都会の中の12階建て高級マンションの5階奥、そこに彼はアトリエを構えていた。
高天原依智(タカマガハラ イチ)。
睫毛バサバサのクリッとした青い目はいつもやる気なさげに俯き、筋が通った形の良い鼻と、薄いがやはり形の良い唇に、卵型の尖った顎は正に美麗であり、金色の髪を肩まで切り揃え、横の髪が邪魔にならないように後ろで軽く縛っている姿でさえも、彼の外見をよくする為の材料でしかない。服装は七分丈のパンツが多く、薄手のティーシャツの上から、パーカーやジャケットを羽織っているのがいつものスタイルである。
そんな彼は、世界が誇る人形のブランドメーカーの“ICHI BRAND”の創設者。
彼の創る人形は美麗で、妖艶。
そして、魔力を込められ創られた人形は動いて、喋って、感情がある。
それは今までの職人にはなしえなかった作品であるが為、人気はうなぎ登りである。
「青い目はサファイア。骨格は木。故に、体は木。髪は黒のままで、睫毛も付けて、服も……服はどうしようか。」
黒い毛髪を頭に接着剤で付けて、唇には、ほんのり紅い口紅を塗る。
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