最強のバスケ選手

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『特に人形シリーズは大好きだ。一体一体の人形が美しい。』 うっとりとした声に、少し身震いした。 その時、依智の中で確信した。「間違いない。この男は変態だ。」と。 『だが、依智くん。思った事はないか?』 「何を。」 隣で警戒しているサーシャにも聞こえるほどの声でそう言えば、男はクツクツと笑う。 あー。不愉快だ。 『狂った人形はどれほど美しく、そしてどれほど醜いのか。』 その一言に、心が震えた。 なぜなら、依智もそれを思った事があるからだ。 『血に汚れ、嬲り嬲られ、そして身も凍るような悍ましさの中で人形は、必ず狂気でおかしくなる。人だって同じだ。でも、そうなるのは君の創った人形だ。』 「吐き気がするほどの性格破綻者だね。」 「ははっ!」と実に愉快そうに笑った男は、言う。 『それを君が言うのか。』 と。 依智だとて気付いていた。否、気付かないわけがなかった。 芸術であふれるこの世界を依智は愛している。愛しているが、それではダメなのだ。 家族を愛しているか。そう問われれば、依智は「多分」というだろう。それは、依智の心の底からの本心であり、素直な気持ちでもある。
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