最高峰の芸術家

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頬には、チーク代わりに桃色の色鉛筆の先を削って、それを指に付けて延ばしていく。 「うん。本人より綺麗だ。」 「おい、こら。実の姉をモデルに人形を創るな。」 掃除が苦手な依智は、よく姉をアトリエに入れて、掃除をしてもらっている。実はさっきまで喧しい掃除機の音が部屋の中いっぱいに騒いでいた。 「ほら。浅深(アサミ)より綺麗。」 「うっせえ!!」 浅深と呼ばれた女は、肩まで切り揃えた黒い髪に、青い目をしていた。 弟は全く似ていないその顔立ちはよくも悪くも平凡である。 睫毛が少なく、短い目は平均的。形は整っているものの低い鼻。少しぽってりとした可愛い唇。輪郭は卵形で尖っている。が、いかんせん童顔で身長も低い。抜きん出て可愛いかと言われれば、男なら正直ちょっと……。女なら可愛いと言うだろう。 「ほら、魔法陣の上からどいて。」 言われた通り、依智の姉はあっさりと退くと、感慨深げに「ねぇ。」と言葉を発する。 リビングに大きく描かれた、複雑な魔法陣はこれから人形に命を与える為の物。そこの中心に依智は、等身大の浅深人形(かなり美化されている)を置くと速やかに魔法陣から出た。
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