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依智が呪文を唱えはじめると魔法陣が光りだし、光りは徐々に、人形に吸い込まれていく。そこで浅深は気付く。
人形が何も着ていない事に。
「ままままままま待て!!人形真っ裸じゃん!!」
それでも呪文を唱えるのをやめない依智は正にごういんぐまいうぇいを背負って歩く。ついで言わんばかりにふりーだむも背負う。
いらん物ばかり背負って我が道を我が物顔で、ゴジラもびっくりするほどに堂々と闊歩する依智は、世界最高峰の芸術家。
根性は腐りきっている。
浅深の必死の頼みも虚しく、依智が呪文を唱え終わると光は消え、真っ裸な浅深が魔法陣の中央に寝そべっていた。
「真っ裸だよ!!?」
「自分に色気を足してからそれ言いなよ。」
浅深はそう言われて、真下を見る。見事になんの弊害もなく床の木目までバッチリ見えてしまった事が悲しい。
依智はさりげなく、浅深が後で片付けようと、ソファーに置いてあった大判バスタオルを浅深人形に掛けた。
パッチリと目を開いた浅深人形は、浅深じゃなかった。
パッチリとした大きな目、ふっくらとした桃色の頬。スッと通った高い鼻。
その人形は実に愛らしかった。
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