最高峰の芸術家

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魔王との契約は誰でもできるわけではない。 とある一族の末裔のみが許される物である。 それは深く長い、歴史の中で築かれた絆の証でもある。 その末裔である依智と浅深。依智は魔法使いとしても優秀。浅深は魔法が苦手である。 「ふーん。契約ねぇ。」 「人を愛し、愛されれば人間になれるらしいけど、そんな人形は今まで見た事ない。」 依智はサーシャの頭を撫でると、サーシャはその手に甘えるように気持ち良さそうに目を閉じる。まるで、犬や猫のようだ。 「それ、どうするの?」 「もちろん俺が育てる。」 犬猫じゃないんだからとツッコミ掛けた浅深は、弟に抱き着く自分がモデルとなった人形に視線を流す。 可愛かった。 「サーシャはご主人様がご主人様で嬉しいです!」 まるでカナリアが鳴いたような綺麗な声に、白百合の花が咲いたような可憐な笑顔に、嫉妬しか沸かなかった。 「実は、浅深人形作ったの、これが二回目。」 「はあ!!!!?」 サーシャに嫉妬していた矢先にそんな事を言われた。 「ほら、浅深ってそれなりにファンが居るでしょ。その中の男性ファンが浅深人形創ってくれって。」
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