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とある居住区中に佇む大きく立派な屋敷。そこは、教会を連想させるような清廉さがある。屋敷を囲う煉瓦の塀。鉄の門には、蔦が巻かれてあるがそれでさえも品が窺える。
その家に住むのは一人の男。
ICHI BRANDの人形達に囲まれて楽しそうに形の良い唇に綺麗な弧を描く。
「………なんで彼の作品はこんなにも美しいのだろうね。」
彼の部屋には、高天原依智が描いた絵画に彫刻、彫像。それは一言、感嘆の溜息と一緒に“美しい”と言ってしまいそうなほどに美麗。
その中でも、彼の気に入りの絵が、“天使の背中”とタイトルが付けられた絵である。
裸体の絵はたくさん目にした事があった。気に入った絵もあっだろう。だがしかし、その絵に勝る絵はこの世のどこを探したとしても見付かりはしない。
その絵、白い布に包まれた少女が背を向け、高い窓から月を眺めている絵。背景は藍色と黒。少女から遠ざかればその闇は濃く、またその反対に少女に近ければ、その闇は薄く。
そして、その少女は黒い髪に、美しくも綺麗な白い羽がもぎ取られたかのように傷と血まみれであった。
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