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「こいつは魔族だけど俺を助けてくれたんだ。攻撃はしないでほしい。」
「魔族がクロノスを助けたぁ?それはほんとなのぉ?」
魔族とクロノスを見比べた後首を傾げながらそう問い掛けてきた。
無言で頷いたクロノスを信じたのかまだ警戒はしているものの、険しかった顔は普通の表情に戻った。
「…クロノスを助けてくれてありがとな。」
パチクリとしながら四人のやり取りを見ていた男の子にリンクがぶっきらぼうながらも軽く頭を下げた。
それをみてセレスとリュイトも頭を下げた。
『頭なんか下げないでよ。僕は怪我してるのをほっとけなくて勝手にやっただけだしさっ!』
相手の態度や対立している人間だということを全く気にしていない男の子は笑顔を浮かべたままそう言った。
『そっちの人間さんにも言ったけど、またこの森に来るなら怪我しないように気をつけてね!』
クロノスに言ったような事を困惑したような表情を浮かべた三人に言った男の子は"じゃ、またね"と手を振り森の中を駆けていった。
それを四人は呆然と見送ったのだった…。
『今日は楽しかったな!初めて人間さんに会ったし。』
この滅多に人間が立ち入らない森から出た事のない男の子は楽しそうにそう呟きながら森を歩いている。
周りにはS級魔物が沢山見られるが、何故か男の子を襲おうとはしていなかった。
魔物の本能が男の子を恐れているのだろうか…男の子を見る魔物達の目には恐怖が見え隠れしていた。
そんな魔物達を気にせず時折スキップをしながら歩いていた男の子の視線の先に立派なログハウスが見えた。
これは男の子一人で造り上げた男の子の家だった。
『ただいまぁー!』
元気にそう言いながら鍵のついていない玄関を開け中に入って行く男の子は、人間に化け物と呼ばれるような魔族には全く見えなかった。
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