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面倒くさいなあ……。
それを聞いてリオは思わず大きく欠伸をしてしまってから、すぐに後悔することとなった。
リオの口から吐き出された大量のあぶくがゆらゆらと浮かんでいったのである。
当然アマンダにも気づかれただろう。
リオは慌てて手を口で押さえながら、激しく咳き込んだ素振りをした。
これが大失敗。
より多くのあぶくがリオを取り囲んでしまったところで、アマンダはちらっとリオを一瞥してから口を開いた。
「では今日の講義に入りましょう。
前回お話しした人間の『足』というものは、我々人魚にとっての『尾ひれ』の部分に相当しまして……」
先生、気が付かなかったかな。
ほっとしたのもつかの間。
これから講義が終わるまで、リオはまたしても欠伸をかみ殺すのに奮闘しなければならなかったのだった。
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