2話ー住処と能力

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じゃあ最初は元になる紫狼への変身からやってみることにしよう。 爺の話では内にある狼を解き放つイメージをすりゃいいらしいがあ。 こんな感じが? 『バチッ』いきなり自分の体の内が放電し、体の底から巨大な力が湧き上がってくる。眠っていた獣が目を覚まし、その血が全身を駆け回る。細胞レベルで体が作り替えられていく、全身が背が獣毛にビッシリと隙間なく覆われていく。脆弱な人間の体が破壊され、爪が犬歯がぞろりと伸びる。 そして遠吠え… 『グオオオオオオオオォォォゥゥゥゥゥゥウンーー!!!!!』 まるで赤ん坊の産声のように響いた声は野山をかけまわる。 長い遠吠えがやみ、そこにいたのは一人の少年ではなく、紫の毛を纏う一匹の巨大な狼だった 。 ーーーーーーーー 今他人が見たら、巨大な狼が毛づくろいしているように見えるだろう。 変わってしまった自分の体を観察しながら、俺は思考する。 とり合えず一番のネックだった、初期勇太のような破壊衝動は無いようである。俺は俺であり、狼の自分ではない人間の俺である。思考も特に低下したような感じはない。
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