隠し事はいつかはバレる。

6/15

2731人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
side???? 月明かりは暗い森を照らし、木々は優しくその光を周りに散らす。 月明かりは太陽のような強さはない。 太陽の光のような、全てを照らすなどと恩着せがましいことはしない。 ただただ全てを受け入れ、ただただ静かに薄明かりの中の真実を見せる。 見せる物が全て幸福でも無ければ…、不幸でもない…。 眠り込んだ紫狼に近づく人影。 亜麻色の髪を揺らし紫狼に歩いていく人影。でも、その歩みに焦りも無ければ、躊躇いもない。 ちょっと廊下で見つけた友達に、声をかけるのと変わらない。 翡翠色の珍しい瞳に宿るのは、親愛と戸惑い。 そして大多数の 『歓喜』 やがて人影は紫狼の本にたどり着く。 女性特有の丸みを帯びた体。亜麻色のふわりとした長髪に翡翠色の大きな瞳。小さな体つきにしては高校生離れした女らしい体躯。人懐っこそうな顔立ちと、類い希なる美貌。 銀狼『饗庭檸檬』 ー彼女は見ていた。志郎が家から出て、紫狼となり山で修行する様子を全て。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2731人が本棚に入れています
本棚に追加