誤算!崩れ始める原作。

5/15
前へ
/83ページ
次へ
「俺に会いたいなんか酔狂な女性だな。深祈さんは…。」 「まあ…、それが深祈姉さんだから。でも志郎くん。紫狼って志郎くんが思ってるほど嫌われている訳じゃないよ。」 「へっ………?」 「まあ諏訪部のおじいちゃん、おばあちゃん辺りは相変わらずだけど、まだ若い諏訪部の朗党の特に狼系の人たちに凄く憧れられてるんだよ」 意外な事実に耳を疑った。まさか恨まれはしても、憧れを持たれるとは思いもしなかった。 「ふふっ……♪何で?って顔してるね?志郎くん襲われても誰も殺しはしなかったでしょ。それも何百人に戦いを挑まれても、誰一人として死者を出さずに返り討ちにしてる。圧倒的な強さに、敵であっても殺さない不殺性。それが若い狼たちに人気みたいだよ。ちっちゃな子たちは、紫狼みたいになる!って言ってる子もいるんだよ。」 意外な事実に耳を疑う。まさか殺すのが嫌で、紫電で纏めて気絶させたのがこんな副産物をもたらすとは…。何が幸いするか世の中分からないものである。 「まあ、その話は置いておいて。」 そっと足元を見るそこには、 「俺の弁当は猫の餌になったみたいだな。」 落ちた弁当に群がる猫たちがいた。 群がっている猫を撫でで檸檬は癒されていたが、俺の空腹はどうしても癒されなかった。 最後に、俺にメンチビームをぶつけていた奴らがやけに美味そうに菓子パン食っていたことが妙に腹がたったことだけはここに記しておく。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2731人が本棚に入れています
本棚に追加