2731人が本棚に入れています
本棚に追加
翌朝気分が悪そうな檸檬がいた。
周りの奴から見たら、あんまり変わったように見えないかもしれない。
でも俺は紫狼なんで特別鼻が利く。その鼻がつらそうな檸檬の匂いをとらえたのだ。
若干フラフラしているようにも見える。周りに当たりそうで当たらないという、器用な事しているが心配でたまらないので声をかけた。
「おい、大丈夫か檸(ボフッ)も…ん?」
俺の声にも止まらず進み続け、俺の胸に当たってようやく停止する。
「おはよ~、志郎くん…。」
当たってようやく気がついたのか健気に挨拶してくるが、顔色が悪い。茶色のアホ毛もしおれて元気がない。
「これ……お弁当。」
プルプル震える手で、俺に白い犬のデフォルトが入った弁当箱を手渡してきた。
こんなに気分が悪そうでも俺のために弁当を作ってきてくれたのかと嬉しくなるが、それよりもなんでこんなに気分が悪そうなのか聞いてみると。
お役目で美術室に行って、敵のよくわからない煙玉吸って気分が悪くなったらしい。
美術室か…。俺もあんまり良い思い出がない。狼で鼻が効くからテレピン油の匂いはヤバいし、デッサンで使ったパンの放置したのなんか最悪だ。一回パンを俺の前で捨てた奴がいたので『お説教』してあげたら、随分よい子になった。何でだろう…。
敵というのは、あの甲賀の馬鹿忍者だろう。原作どうりなら勇太に腕を喰いちぎられ、三郎に乗り移るだよな。まあ、来たらシバくけど。
最初のコメントを投稿しよう!