誤算!崩れ始める原作。

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「………………」 さっきから檸檬が動いていない。 完全に俺に体を預けたままで固まっている。 もしやこれは…… 「………💤……💤」 あ~あやっぱり、立ったまま寝てやがる…。 立つまま寝るなんて器用な真似しているが、完全に自立しているんじゃなくて殆ど俺に寄りかかるように眠っている。 何が言いたいかというと、俺が動いたら檸檬が地面に倒れると言うことだ。 起こせば全て解決するが、生憎俺は立って寝てしまうほど疲れてる人を起こすほど無粋ではない。 じゃあ起きるまで待つのか?と聞かれると生憎そうもいかない。 時間もそこまでないし、だんだん人の目も多くなってきた。 まあ人の目が多くなってきたのは当たり前だろう。今いる場所は校門を少し入った所だ。出勤ラッシュならぬ、通学ラッシュなので人通りも多く当然、野次馬根性激しい奴が出てくる。 どうやら俺と檸檬をみて不埒な事を言ってる奴らがいるようだ。 狼の耳に入ってくるその内容は誤解のオンパレードだが、まあ密着しているから見えなくもないか…。 だがこれ以上ここにいるのは我慢の限界だ。檸檬も起きないし、最終手段を続行する。 寄りかかる檸檬の体を抑えながら、しゃがみこみ膝の裏と肩を抱えながら、一気に持ち上げる。 檸檬の体はスッポリと腕の上に乗っかり俗に言う『お姫様抱っこ』が出来上がる。 沸き立つ外野の野次馬どもを置き去りにして、動き出す。しかし檸檬を起こさないようにゆっくりと。 目指すは保健室。恥ずかしいが背に腹は帰られない。修行を積んでいてもこういうのは耐性がない。 なんだか校舎がいつになく遠いような気がするが気の所為だと思いたい。
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