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(マズい、まずい、不味いぞ~!なんでここに、この人がいるんだよ!)
このタイミングでこの人が出てくるなんて、普通はありえないぞ。と言うか深祈って教育じゃなかったか。何で保健室になんているんだよ。
「あら?どうしたの?中に入らないの?それとも、そこで檸檬ちゃんが起きるまで待ってるの?」
「いえ、入りますよ。流石にここで檸檬を見せ物にするのはごめんですし。」
矢継ぎ早にまくし立てて深祈の後に保健室へと入る。
野次馬どもも何人か続こうとしていたが、後ろ蹴りで御退場いただいた。
保健室の中はアルコールの匂いが鼻につくが、俺はこの匂いは嫌いじゃない。なんと言うか意識が覚醒する感じがする。
「さっ、ここに寝かして上げて。」
深祈がベッドを整えてくれたようなので、そこに檸檬を下ろし靴を脱がして、布団を掛ける。
顔色を見ても穏やかな顔なので大丈夫だろう。
ホッと息を吐く。
「ふふっ……。」
上品な笑いが聞こえたので振り返れば、案の定で深祈だった。
「大切なのね檸檬ちゃんが。良かったわ。檸檬ちゃんに良い彼氏くんが出来て。」
「彼氏では有りませんが、幼なじみの大神志郎です。多分ですが会うのは初めてだったと思います。」
「そう?私はなんだか初めてじゃない気がするんだけど…。気のせいかしら?」
……なんて人だ、俺があの時の紫狼だと感だけで気ずこうとしてるのか。
ええぃ、穂高家の深祈は化け物か!
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