誤算!崩れ始める原作。

9/15
前へ
/83ページ
次へ
(マズい、まずい、不味いぞ~!なんでここに、この人がいるんだよ!) このタイミングでこの人が出てくるなんて、普通はありえないぞ。と言うか深祈って教育じゃなかったか。何で保健室になんているんだよ。 「あら?どうしたの?中に入らないの?それとも、そこで檸檬ちゃんが起きるまで待ってるの?」 「いえ、入りますよ。流石にここで檸檬を見せ物にするのはごめんですし。」 矢継ぎ早にまくし立てて深祈の後に保健室へと入る。 野次馬どもも何人か続こうとしていたが、後ろ蹴りで御退場いただいた。 保健室の中はアルコールの匂いが鼻につくが、俺はこの匂いは嫌いじゃない。なんと言うか意識が覚醒する感じがする。 「さっ、ここに寝かして上げて。」 深祈がベッドを整えてくれたようなので、そこに檸檬を下ろし靴を脱がして、布団を掛ける。 顔色を見ても穏やかな顔なので大丈夫だろう。 ホッと息を吐く。 「ふふっ……。」 上品な笑いが聞こえたので振り返れば、案の定で深祈だった。 「大切なのね檸檬ちゃんが。良かったわ。檸檬ちゃんに良い彼氏くんが出来て。」 「彼氏では有りませんが、幼なじみの大神志郎です。多分ですが会うのは初めてだったと思います。」 「そう?私はなんだか初めてじゃない気がするんだけど…。気のせいかしら?」 ……なんて人だ、俺があの時の紫狼だと感だけで気ずこうとしてるのか。 ええぃ、穂高家の深祈は化け物か!
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2731人が本棚に入れています
本棚に追加