誤算!崩れ始める原作。

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女々しいな…。 我ながらそう思う。ずっと前から分かってた事だ。今更なにを迷い、ためらい、立ち止まる必要がある。今は三郎の出現に集中すればいい。 思考を中断し、ふと顔を上げれば知った人がいた。 あちらも俺に気がついたようで、こっちに来る。 「相変わらず、湿気た顔してるな勇太」 「そっちだって似たような者だろう志郎。…隣良いか?」 「愚問だな。俺とお前の仲だぞ。」 「そうだったな。」 そう言って俺の横にどっかり座る勇太。俺の唯一無二の男友達であり、敬語を使うことなく話せる奴である。こいつがあの一件でいなくなってから、俺の男友達は、原作メンバーの鬼に変身するあの人しか居なくなった。てかあの人も大学生なのでゲーセンくらいでしか会えない。 「それ……、檸檬の手作りか?」 勇太が俺が持ってる弁当を見る。 「よく分かったな、そうだよ檸檬の手作りだよ。体調が悪いのに弁当だけは律儀に作りやがって、まったく……。てか、よく分かったな………コレが檸檬のだって。」 「ああ。なんかヒナが『檸檬が志郎に作ってるんだから、私も作って上げたから。余りものだから勘違いしないでね』とか言ってたからな。」 おいおい、それって…。 「お前それ…、焦げたのとか無かったか?」 「ん…。確かに焦げた卵焼きとか、火の通ってない煮っ転がしとか有ったな。まあ、余りもんだし仕方ないよな。」 俺は深~いため息を吐いた。 ヒナよお前の思いのが詰まった弁当は、このエロゲー体質鈍感朴念仁には届いてないみたいだぞ。 てか、いくら余りもんでも、焦げたもんなんか人様に持ってくハズないだろ! ヒナが慣れないながらも、お前の為に弁当を作ったて気づけよー!
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