会敵弐。見通しの甘さ。

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横滑りしながら、地面を転がっていく三郎。 俺は転がっていく敵を視界に捉えながら、檸檬に駆け寄る。 変身が解けているため、服など着ていないが、お構いなしに傷を調べていく。 ……………。 よかった。出血は酷いが傷は浅いようだ。 そのとき、檸檬の瞼が僅かに開いた。 「……………し、志郎くん…?」 僅かに開いた目から涙が少し流れる。 俺は目から流れた涙を指で拭ってやる、 「よくがんばったな。もう大丈夫だ、檸檬。あのボロ人形しばいて、早く家に帰ろうな」 安心させるような声で呟くと、檸檬は少し笑い気絶した。 上着を脱ぎ、檸檬の傷に触れないようにそっと優しくかける。 「…いつまで寝てる気だ、この木偶(でく)人形。大して効いてないことは分かってんだぞ。」 未だに俺に吹き飛ばされて地面に転がっている三郎。 派手に蹴り飛ばしたが、所詮は人形。 人間が受ければ、軽く骨ニ、三本へし折る一撃も、感覚神経さえない人形にどれだけのダメージを与えるかも怪しい。 まるで俺の言葉を合図にしたかのように、人間の関節では到底真似できない起き上がり方をする三郎。 光すら灯らない瞳がこちらを見つめる。
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