会敵弐。見通しの甘さ。

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だがそれは一瞬で憤怒へ変わる。 「ふざけるな!!!僕は里の未来を憂い行動を起こしたんだ!あんなクズと…僕を一緒にするなぁ!!!!!!!!」 憤怒、激怒、今の奴にコレほど似合う言葉はないだろう。三郎から発せられる声は最早質量を伴って土を巻き上げ、辺りを揺らす。 煽りは十分、あとは 「いや…チンピラの中にも、あいつらみたいに仁義大切にする奴はいるからな。やっぱ訂正する。 お前へ、」 爆弾投下。 「クズ以下だわ」 音が止んだ。 軋みも耳障りな声も そして 「……良いだろう、そこまで虚仮にしたんだ。…生きて帰れると思うなよ」 のっそりと濃厚な『殺意』が頭を上げる。 「ゆっくりと切り刻んで殺してやる…。安心してくれ、寂しくないように君を殺したあと直ぐに犬どもも送ってあげよう」 「そうか…、最後に言わせて貰うが、お前が犬、犬言ってるこの二人は、困難からは決して逃げなかった。自分じゃどうにもならない事でも決して道を踏み外さずここまで来たんだ。そして…」 「戯れ言をおおぉぉぉぉぉぅぅ!!!!!!!!!」 俺の言葉に我慢出来なくなった三郎が脇差を構えて突撃してくる。檸檬や勇太から距離を取っているから巻き込むはしないが、俺は確実に斬られる。 だが言葉を紡がずにはいられない。 『覚えておけ』 残り17m 『弱肉強食、弱者は強者に倒されるのは世の恒』 残り10m 『だがな!』 残り9m 『弱者を倒した強者は』 残り6m 『強者を超える強者に』 残り2m 『蹂躙されることを』 残り0m 三郎、零距離。 刀が志郎に振り降ろされる。
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