会敵弐。見通しの甘さ。

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人間なら全身火傷でショック死になってもおかしくない傷。 例え三郎の体を乗っ取ったと言っても、意識は人間のままなはずである。 暖炉で火傷した子供が火を怖がるように、全身を炭化して右手まで失っている。 普通に考えれば即撤退な重傷。痛みを感じないにしても紫電に全身を焦がされたのはハッキリと感じているはずである。 それなのに、全身を焦がされる恐怖をものともせずこちらに向かってくるのは狂気の沙汰だ。 怒りに身を包んだ真っ黒のマネキン(三郎)が凄まじいスピードで突っ込んでくる。 どこのホラーだ。 ガコン! シュバババァァァァァァ! 胸辺りが突然開き、中から大量のクナイが飛来してきた。 おい…、こいつ本当に昔の人形かよ!遅くてもこいつ江戸時代の人形だぞ!職人は人形浄瑠璃やってる片手間でこんなもん作っていたのか! 大日本帝国がこいつを量産してたら、絶対に太平洋戦争負けなかったよ! 太平洋の島々を制圧し、英米軍をクナイ機関銃で駆逐していく量産凡庸人型兵器「三郎」。……………恐っ!
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