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紫狼を中心にして、前方半径五十メートルの地面が一瞬発光して、次の瞬間まとめて吹き飛んだ。
道を覆っていたアスファルトや道路標識は下から湧いた紫電にバラバラに引き裂かれ、宙に舞う。
宙に舞うのはアスファルトだけではなく、当然射程内にいた三郎にも直撃した。
吹き飛んだアスファルトの塊に抵抗することも出来ず同じように宙に舞った。
それを見て俺は躊躇なく地をけり未だに無防備に飛ぶ三郎に追いすがった。
アスファルトの塊を踏み台にしての急接近。
三郎も俺の接近に気づいて対処しようとするがもう遅い。
三郎の足にガッツリと食らいつく。
口のなかに炭と少しの木の香りが広がりかなりまずい。
でも牙のズラリと生えたアギトに力を入れて足を噛み砕く。
メキメキメシィ…
足の木材が悲鳴を上げて砕かれる、だがよりいっそう牙が食い込むだけで足を喰いちぎることはできない。
仕方がないので空中で体制を変えて振り回し、地面に投げ飛ばす。
無論、三郎の足には俺の牙がしっかりと食い込んだままであり、木材の足がさらなる悲鳴上げる。
ついに…
メシメキメキメキャブチッ!
牙による繊維断列、遠心力による攪拌に耐えれなくなった三郎の足が本体と切り離され口の中に孤立する。
ぷっ、まずいので吐き出す。
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