バレた代償と新たな決意

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 騒がしくなった集団から離れ、端の方に行こうとするがそうは問屋が下ろさないようで、周りをびっしりと囲まれた。  不味いな…。今んとこ檸檬の様子が気になるから離れたくないのだが。かと言って全員吹き飛ばす訳にもいかないし。  いっそ、変身を解くのも手か…  多分、今ここを逃げ出しても俺が紫狼だと特定されるのは時間の問題だろう。  立場上、穂高も俺が紫狼だと話さなくてはいけないだろう。たぶん、あの穂高が放った言葉にはその意味もあった筈だ。  それに心情的にも話したいだろう。俺は彼女の目の前で、三郎を赤子の手を捻るように壊した。まあ…逃げられはしたが…。  紫狼に三郎の破壊が可能なら、穂高は生贄にならずに済む、人間誰だって進んで死ににいくような奴はいないだろう。だから穂高は話す絶対に。  もし紫狼が一個人、しかも諏訪部の支配領域に住んでいると分かれば諏訪部の本家は黙っていない。  金、人、権威。あらゆるものを使って、俺を懐柔し都合のいい掃除屋にでもするだろ。個人は集団には勝てない。例え勝っても、さらに大きな集団に潰される。  結局なにが言いたいのかと言うと、『バラしてやるのはいいが、場が悪い』のだ。  下手に武装解除したら、降伏したと見なされ牢屋にでも放り込まれるかもしれない。てか、その場で殺害されるかも…。  状況は悩んでる間にも悪化し、前線を狼や鬼、後衛を術士にしてさらに包囲を狭める。  俺も周囲に『紫球』を配置し、鉄球を生み出し『超電磁砲』を十二時全方位に展開、紫電六万発を発射態勢に移行し、完全放電の準備も済ませる。  今、敵から俺を見たらおっかないことこの上ないだろう。
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