ベースボールは終わらない

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口角についた食べカスが、気になる。 商店街で買ったコロッケに噛り付いて。カサリ、と音を立ててぽろぽろとこぼし続けていた。 そんなものばかり食べているから肌が荒れるんだ。カロリーを気にしなければいけない自分を棚にあげ、思う。やはり、揚げ立てが旨い。カキーンとバットが当たる音がして隣の肩が、反応した。 「負けたないわ、俺!」 俺もホームラン打ったるねん!と、熱く語る口から飛び散る唾は生温く汚い、食べながら喋るからカスも一緒に飛んでくるからなお汚い。 どうしてこいつはいちいち汚いんだろうなんて思いながら相槌を打った。 だから余計にだろうか。 仕事に対する熱意だけが日光を浴びたように、いつもきらきらと輝ってみえた。錯覚なのだろうけど、それはいい錯覚だと俺は勝手に思っている。
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