42人が本棚に入れています
本棚に追加
夜の帳が落ちた平安の都は妖魔の巣窟だ。
「やっべえよ、この状況。どうする?」
「どうしようもないだろう」
大路の真ん中で妖怪に囲まれた男が二人、背を預けながら剣を構えている。
周りの妖怪は蜥蜴<トカゲ>や百足<ムカデ>、大蛇に蜘蛛の四匹。
大蛇と百足は男二人の身の丈より三倍はあり、蜥蜴と蜘蛛も横幅が大人一人寝転べそうな大きさだ。
男の一人が盛大にため息をついて、もう一人を睨む。
「もとはと言えばお前のせいだぞ、貞光! 女人などにほいほいついていくから……」
「あー、もう分かったよ!!いちいち怒鳴るなって!」
貞光と呼ばれた男は背中合わせの男に怒鳴り返した。
最初のコメントを投稿しよう!