**て**

2/2
前へ
/49ページ
次へ
カイロを持ってくるのを忘れた僕が、手を擦っていると、君は来てくれた。 そっぽ向いて、手だけ僕に向かって差し出したね。 あんなの、わけわかんないよ? 首を傾げて動かない僕を見かねた君は、強引に手を繋いでくれた。 君の手は、暖かいね。 冷たい、って文句言いながらそのまま歩く君は、なんだか可笑しかった。 でも、ありがとう。 嬉しい。 君が、僕を見ていてくれたことが。 些細なことに気付いてくれたことが。 とても、嬉しい。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加