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「あ」
唐突に声を上げた彼女を見ると、驚きで開いた口を両手で塞ぎ、目からは次第にポロポロと涙が零れ始めた。
どうやら一年後のサプライズは成功したようだ。
「泣くなよ」
「……一年後の貴方もそう言ってる」
「誕生日おめでとう」
「うん……ありがとう」
彼女は涙を拭いながら満面の笑みでそう答えた。俺はそれを見て、なんとも暖かい優しい気持ちになった。
「言って置くけど、一年後に同じサプライズをしても二番煎じだからね」
「未来は変えられないんだろう?」
「芸のない男」
俺の言葉に彼女は笑った。
「それでも君は泣いて喜ぶさ。未来は変わらないからね」
「それってなんだか悔しいわ」
今度は俺が笑う。
「笑顔で迎えてくれる未来も待ってないんだから、それぐらい許してくれよ」
俺はそう言って、彼女と二人で笑った。
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