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修業、とはどういう事だろうか。
「いきなり言われても困るわよね。」
彼女は俺から少し離れて自分の周りに人形達を集める。
「私はアリス、アリス・マーガトロイドよ。」
いくつもの人形に独立した動きをさせている上に一切の乱れが無い。
「宵風、紡宵風だ。」
俺は名を名乗ってふと疑問を口にする。
「修業ってのは人形遣いとしてか?それとも魔法使いとしてか?」
すると彼女は微笑みながら言った。
「もちろん、どっちもよ。」
そう言って右手を差し出してくるアリス。
俺の直感が告げる、「この手を取ったら引き返せない」と。
そう感じながらも、俺は彼女の手を取った。
「あら、帰れないと感じていたのに手を握ったのね。」
そんな言葉と共に日傘を差した女性が部屋の中に現れる。
「紫、やっぱり貴女が連れてきたのね?」
アリスは彼女が俺を連れてきたと分かっていたかのように言う。
「えぇ、魔力を使える人間を外の世界に置いておくわけにはいかないもの。」
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