出逢い

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彼の言葉には妙に 説得力があった 「じゃあさ、 キミがいなくなったら おかあさんは 喜ぶと思う? 逆だよな。 悲しむって、 絶対。 いてほしくても いてくれない人って いるじゃんか。 会いたくても 会えない人って いるじゃんか。 好きでも 好きって言えない人 いるじゃんか。 ありがとうって 言いたいのに 言えない人って いるじゃんか。 いらない ってホントは いてほしいんだよ。 おかあさんに 対して ありがとう って言ったか?」 彼は私の顔を 覗き込んだ 私は首を横にふった 私、おかあさんに ありがとう なんて言ったこと なかった... 「だろ?おかあさんは ありがとうって 言ってほしかったんじゃないかな? もしかしたら 違うかもしれない。 でも、今までの 気持ち全部含めて ありがとうって 言ってこいよ。」 ありがとう? 今までの気持ち? 「いいんだよ。 全部言って...。 自分の気持ちなら 全部ぶつけてみな。」 私は走った 家に向かっていた 知らないうちに おかあさんに ありがとう って 言いたくなった 家の扉を開くと おかあさんは リビングにいた いつもならすぐ 寝室いくじゃん なんで今日は リビングにいるの? 待っててくれたの? 「なに... 帰ってきたの。」 おかあさんの言葉は 帰ってきてほしくなかった みたいに聞こえるけど なんとなく私には 「帰ってきてくれたの」 って聞こえた気がした
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