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その男の子は
私に傘を傾けていてくれていた
だから少し肩が
ぬれている
男の子はずっと
真顔で私を見つめている
男の子の肩がどんどん
ぬれていく
二人は沈黙したまま
「風邪...ひきますよ」
沈黙をやぶったのは
男の子
でも私は口を開かなかった
無視していれば
いつかどこかに
いくだろうと
思ったから…
私はまた下を向いた
でも降りしきる雨が
私にかかることは
なかった
ずっと…
彼の肩はもう
びしょぬれ…
なのに彼は
傘を私に
傾けたまま
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