龍を纏う者

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今レミリアは外を歩いている。 真っ昼間にだ。 昼間に出歩く吸血鬼と言うのも珍しい話だが、今日は特別なのだ。 今日は月に一度の外出日。 紅茶を買いに行くのだ。 数年前にふと立ち寄った紅茶屋の女主人と気が合い、以来ここにご執心なのだ。 しかしこの店は昼から夕方までと言う時間しか開いておらず、昼間に外に出るしかない。 日差しが弱まってから来ても良いのだが、ここの主人と話したり紅茶の試飲をさせて貰うなどするととてもじゃないが時間が無くなってしまう。 日光の下を歩くのは辛いが、この一時の為ならば多少は我慢できると言うものだ。 上機嫌で歩くレミリアは思わず「うー☆」と声を漏らしても気にしない。 今日は店の最高級の紅茶を買うつもりなのだ。 前に試飲させて貰ったときにその美味しさに思わず舌を巻き、値段を聞いてさらに舌を巻いたものだ。 使い魔を給仕に出し、収入を得てはいるが、とても手が届かず断念したが、最近館の奥から出てきた骨董品が意外に高値で売れ、余裕が出来たのだ。 上機嫌のまま町に向かう足取りは軽い。 だが、町の前の街道を歩いてるとき、一瞬妙な"ざわめき"を感じる。 本当に一瞬だったため、気のせいと割り切り店に向かう。 糸の端が揺れた。
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